山口あき子
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2016年ケアマネ試験問題 保健医療サービス
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保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題26

高齢者に多い症状・疾患について正しいものはどれか。
3つ選べ。

1 高齢者の難聴では、伝音性難聴が多い。

2 服用する薬剤数が多くなると、副作用のリスクは増大する。

3 心房細動では、心内で形成された血栓により、脳梗塞をきたすことが多い。

4  高齢者のめまいは、内耳の障害のほか、血圧のコントロール不良、脳腫瘍などが原因となることがある。

5 加齢黄斑編成では、進行しても視力が失われることはない。

◆ポイント◆

高齢者は加齢に伴い様々な症状や疾患を引き起こしやすくなる。高齢者にみられる聴力・視力低下の症状については以下の通り。
・伝音性難聴:外耳から中耳にかけての機能が低下し、音が伝わりにくくなる。
・感音性難聴:内耳にある神経細胞の機能低下で音を感じにくくなる。加齢性難聴とも呼ばれ、高齢期に多くみられる。
・加齢性黄斑変性:網膜の中心部にある黄斑で引き起こされる機能低下。視野の中心部が欠損する「中心暗転」という症状を呈する。

◆答えの解説◆

1=×
伝音性難聴に比べ、感音性難聴(加齢性難聴)の方が高齢者には多い難聴である。したがってこの記述は正しくない。
2=○
高齢者は複数の疾患を抱えることがあり、服用する薬も多くなることで副作用のリスクが増大する。したがってこの記述は正しい。
3=○
不整脈の一種である心房細動は、心内で血栓を形成しやすく、その血栓が血管を通って脳に到達すると脳の血管が詰まる症状(脳梗塞)が出ることが多い。したがってこの記述は正しい。
4=○
高齢期におけるめまいは、内耳障害以外に薬剤の副作用や起立性低血圧、脳腫瘍など様々な疾患が原因で起こることがある。したがってこの記述は正しい。
5=×
加齢黄斑変性症は、視野の中心部が見えなくなる「中心暗転」、視力低下などの症状が現れ、失明につながる疾患である。したがってこの記述は正しい。

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保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題27

次の記述について適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 高齢者の不明熱では、悪性腫瘍や感染症が隠れていることがある。

2 心室性期外収縮は、健康な人ではみられない。

3 血圧測定は、上腕での測定が難しい場合には、下肢で測定してもよい。

4 起立性低血圧は、飲酒や降圧剤の使用も原因となる。

5 本態性高血圧は、腎臓や内分泌の異常により血圧が高い状態をいう。

◆ポイント◆

高齢者は疾患による症状が非典型的で自覚症状が乏しい場合があるため、日頃からバイタルサインを見逃さないことが大切である。高齢者に起こりやすい疾病や症状、関連するバイタルサインの主なものは以下の通り。
・不明熱:定義や分類に「38.3℃以上(口腔内)の発熱が3週間以上続き、病院での1週間以上の入院精査でも診断がつかないもの」などがある。悪性腫瘍や感染症、膠原病といった疾患で多く見られる。
・心室性期外収縮:規則正しい脈が一時的に飛ぶ(途切れる)ことが心室で起こる不整脈の一種。
・起立性低血圧:急に立ち上がった時、臥位から起き上がったときに急激な血圧の変動で生じるめまいや立ちくらみなど。
・本態性高血圧:高齢者に多くみられ、原因不明の高血圧を指す。原因が明らかな高血圧は「二次性高血圧」と呼ぶ。

◆答えの解説◆

1=○
悪性腫瘍や感染症など様々な疾患でも不明熱は起こる。したがってこの記述は正しい。
2=×
健康な状態の人でも心室性期外収縮がみられることがある。したがってこの記述は正しくない。
3=○
血圧測定は上腕での測定が原則であるが、状況に応じて大腿部(膝窩動脈)や下腿(足肺動脈や後脛骨動脈)で測定することも可能である。したがってこの記述は正しい。
4=○
起立性低血圧は、アルコール摂取による血管拡張でも引き起こされる。また、降圧剤の服用は血圧を下げるため起立性低血圧を引き起こす要因となる。したがってこの記述は正しい。
5=×
腎臓や内分泌の異常など原因が分かっている高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれる。したがってこの記述は正しくない。

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保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題28

検査について、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 高齢者のBMI(Body Mass Index)は、脊椎の変形や圧迫骨折により、本来の値より小さくなる。

2 血清アルブミンは、高齢者の長期にわたる栄養状態を見るために有用な指標である。

3 AST(GOT)は、肝臓の疾病以外の原因でも上昇する。

4 糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cは、検査前1~2時間の血糖レベルを反映している。

5 CRP(C反応たんぱく質)は、感染症以外に、悪性腫瘍や膠原病でも高値になることがある。

◆ポイント◆

高齢者に多い疾患と関連する検査値について問われている。代表的な検査値をまとめた。
・BMI:体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で計算される肥満度を表す指標。日本肥満学会では、25以上を肥満、18.5未満を低体重(やせ)としている。
・血清アルブミン:アルブミンは肝臓で生成されるたんぱく質の一種であり、値が基準値より低い場合は、低栄養状態であることが考えられる。また、長期の栄養状態を見るのに有用な指標である。
・AST(GOT):主に肝臓機能を示す指標であるが、心臓や筋肉などの疾患でもで高値を示す。
・ヘモグロビンA1c:糖がヘモグロビンと結合している割合(血糖レベル)を示す値。検査時の血糖値ではなく過去1~2か月の血糖レベルを反映している。糖化ヘモグロビンともいう。
・CRP(C反応性たんぱく質):炎症反応を示す値である。感染症・悪性腫瘍・膠原病・梗塞などで高値を示す。

◆答えの解説◆

1=×
脊椎の変形や圧迫などで身長が縮んだりした場合は、BMIの計算式では本来の値よりも大きい値となる。したがってこの記述は正しくない。
2=○
栄養状態を把握するのに重要な指標は、血清アルブミンである。したがってこの記述は正しい。
3=○
AST(GOT)は、肝臓以外に心筋や骨格筋にも含まれているため、それらの疾患によっても数値が上昇する。したがってこの記述は正しい。
4=×
ヘモグロビンA1cは、検査前1~2ヶ月間の血糖レベルを表す指標である。したがってこの記述は正しくない。
5=○
悪性腫瘍や膠原病などでも、CRP(C反応たんぱく質)は高値を示す。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題29

呼吸状態について適切なものはどれか。3つ選べ。

1 チアノーゼは、呼吸状態が悪いため血液中の酸素が欠乏し、皮膚や粘膜が紫蘭色になることである。

2 心不全により呼吸困難をきたしている場合は、起坐位又は半坐位となることで呼吸困難が軽減される。

3 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合は、口をすぼめて息を吸う呼吸を積極的に勧める。

4 呼吸のたびに顎であえぐような下顎呼吸が始まると、1~2時間後に死亡することが多い。

5 チェーンストークス呼吸は、睡眠時無呼吸症候群に特徴的な呼吸である。

◆ポイント◆

代表的な呼吸状態や疾患について問われている。呼吸は様々な多臓器や多機能と影響しあい連動しているため、その特徴などを把握しておく必要がある。
・チアノーゼ:皮膚や口唇、爪などが紫色になる症状で、血液中の酸素濃度が低下することにより引き起こされる。
・慢性閉塞性性肺疾患(COPD):介護保険の特定疾病の一つで、肺気腫と慢性気管支炎の総称である。息を吐きにくくなるという症状が出るが、口をすぼめてゆっくりと息を吐くと楽に呼吸ができる。
・下顎呼吸:臨死期にみられる顎で喘ぐようにする呼吸。下顎呼吸が始まって1~2時間で死亡することが多いとされている。
・チェーンストークス呼吸:脳血管障害や心不全などの重症の疾患時、また臨死期にみられる呼吸。小さい呼吸から大きい呼吸になり、さらに小さな呼吸となり、一時的に呼吸が停止する状態を30秒から2分くらいの周期で繰り返す。

◆答えの解説◆

1=○
血中の酸素が欠乏することにより末梢の皮膚や粘膜が紫蘭色になることをチアノーゼという。したがってこの記述は正しい。
2=○
心不全の症状である肺うっ血による呼吸困難がみられる場合は、起坐位や半坐位の姿勢をとることで呼吸が楽に行える。したがってこの記述は正しい。
3=×
口すぼめ呼吸とは、鼻から息を吸って息を吐くときに口をすぼめる呼吸のことである。口をすぼめて息を吐くことで気管支内の圧力が高くなり気管支の閉塞を防ぐことが出来るので、呼吸が楽になる。したがってこの記述は正しくない。
4=○
下顎呼吸は臨死期にみられる呼吸のことを指す。この呼吸が始まると、1~2時間経過後に死亡することが多い。
5=×
睡眠時無呼吸症候群の状態で、チェーンストークス呼吸を引き起こすことはない。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が停止する状態をいう。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題30

次の記述について、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 慢性心不全に用いられるジギタリス製剤や認知症治療薬は、食欲不振の原因になることがある。

2 高齢者は、口渇の訴えが多いので、水分の過剰摂取に注意する。

3 嚥下障害の有無を把握するには、食事の所要時間、むせや誤嚥の有無、姿勢等を観察する。

4 経口維持加算は、他職種による食事の観察や会議を行い、経口維持計画を作成し、管理栄養士等により栄養管理を行った場合に算定する。

5 高齢者では、ADLの低下よりも、小腸における消化や吸収機能の低下が著しい。

◆ポイント◆

加齢に伴う機能低下、服薬、食事摂取等について問われている。ここでは、特に薬剤について特徴をまとめた。
・ジギタリス製剤:心不全に対応する薬で、心筋の収縮力を強くし、速くなりすぎた脈を整える作用がある。副作用として食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを伴うことがある。
・認知症治療薬:認知症症状の進行を抑制するために使われる。ドネぺジル塩酸塩やメマンチン塩酸塩などがある。副作用に、ドネぺジルでは食欲不振、吐き気、下痢など、メマンチンではめまい、頭痛、高血圧などが挙げられる。

◆答えの解説◆

1=○
ジギタリス製剤や認知症治療薬の服用により、副作用として食欲不振になることがある。また、抗がん剤や向精神薬なども同様の副作用が生じやすい。したがってこの記述は正しい。
2=×
高齢者は口渇を感じにくく、身体が必要としている水分調整をうまく出来ず脱水症状を起こすリスクが高い。よって、注意しなければならないのは、水分の過剰摂取ではない。
3=○
食事の際、むせはないか、誤嚥していないか、食事にかかる時間は長くないかなど、嚥下状態を観察・把握することで、早期に嚥下障害を発見することができる。また、誤嚥性肺炎の予防にもつながる。したがってこの記述は正しい。
4=○
経口維持加算は、介護保険施設や地域密着型サービスの入所施設等で算定できる。選択肢の記述内容と、栄養マネジメント加算の要件を満たしていれば算定できる。したがってこの記述は正しい。
5=×
小腸の消化・吸収機能は加齢によって低下することは少なく、ADL機能と比べると比較的良好に保たれる。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題31

皮膚疾患について、より適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 脂漏性湿疹では、患部を清潔に保つほか、抗真菌薬、保湿剤、ビタミン薬などが使用される。

2 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス感染の再活性化によって起こる。

3 皮脂欠乏症は患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。

4 白癬は家族内で感染することはまれであるため、爪切りやスリッパなどは共有しても差し支えない。

5 薬疹は、長期間使用している薬剤により生じることはない。

◆ポイント◆

介護現場でよく見られる皮膚疾患において、整理しておく必要がある。
・帯状疱疹:水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で起こる。半身に痛みを伴う帯状の水泡、神経への刺激による痛みが生じる。しばしば高齢者では重症化することもある。
・皮脂欠乏症:皮膚表面の脂分が減少し、皮膚の水分低下により皮膚が乾燥する症状である。乾燥によるかゆみから湿疹になることもある。皮脂の除きすぎに注意。
・脂漏性湿疹:頭皮や顔、耳の裏など、皮脂分泌の多いところによくできる湿疹であり、慢性化することがある。幹部の保清、生活リズムを整えることが悪化予防につながる。
・薬疹:薬によって引き起こされる発疹のこと。一般にアレルギー性のものを指す。
・白癬:白癬菌というカビが足などに付着し、かゆみなどが生じる。細菌感染が起こりやすくなるため、糖尿病などがある人はきちんとした治療が必要。

◆答えの解説◆

1=○
カビの一種であるマラセチア(常在菌)が原因で発症するといわれている。治療には抗真菌薬や抗炎症作用のある外用薬が有効。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン剤やビタミン剤の内服薬などを使用する。したがってこの記述は正しい。
2=○
幼少期などに水疱瘡に罹患した人では、体内にウイルスが潜伏しストレスや病気、けが、加齢など免疫力が低下した時にウイルスが再活性化し発症する。したがってこの記述は正しい。
3=×
皮脂欠乏症の症状は皮膚の乾燥によるものであるため、ナイロンタオルの使用で皮膚を刺激すると症状が悪化する恐れがある。したがってこの記述は正しくない。
4=×
白癬は感染する皮膚疾患である。タオルやスリッパ、爪切り等の共用は感染が広がるため、家族内で共用してはならない。したがってこの記述は正しくない。
5=×
薬剤を長期間使用している場合でも、突然発症することがある。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題32

在宅医療管理について、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 悪性腫瘍の疼痛管理のために麻薬を使う場合は、便秘になることが多いので、排便コントロールに留意する。

2 腹膜透析は、在宅で行うことが出来るため、血液透析に比べて通院回数は少ない。

3 インスリンを自己注射している場合に、冷や汗、動悸、震えが見られたら、高血糖を疑う。

4 在宅酸素療法や人工呼吸療法を実施している場合は、パルスオキシメーターの購入費用の補助を受けられることがある。

5 胃瘻に栄養剤を注入する際には、水平仰臥位で実施する。

◆ポイント◆

この問題は、在宅療養で行われる基本的な医療管理等について問われている。
介護支援専門員として押さえておきたい在宅医療管理について以下にまとめた。
・胃ろう:直接胃に栄養分を注入するカテーテルを胃の内部に留置する装置。液体栄養剤を滴下で注入したり、半固形栄養剤を注射器(シリンジ)で注入したりする。
・腹膜透析:腎不全患者が自宅で行う人工透析の方法で、心臓への負担が少ないことなどがメリット。腹腔の内部にカテーテルで透析液を注液し血液中の老廃物などを廃液パックへ排出する。
・人工呼吸療法:自発呼吸がない者・不安定な者に、換気量の確保などを目的に行う。気管切開する侵襲的陽圧換気法とマスクを使う非侵襲的陽圧換気法がある。

◆答えの解説◆

1=○
麻薬使用時には、便秘、嘔吐・吐き気、眠気で、呼吸抑制などの副作用が生じる。したがってこの記述は正しい。
2=○
在宅で行う腹膜透析は、週3日程度通院が必要な血液透析に比べ、通院は月に1~2回程度になり負担が少ない。したがってこの記述は正しい。
3=×
選択肢にあげられた、冷や汗、動悸、震えなどは低血糖症状である。他に、意識レベルの悪化などがあり、速やかにブドウ糖などの摂取が必要である。したがってこの記述は正しくない。
4=○
パルスオキシメーターとは血液中の酸素飽和度を測定する機器である。在宅酸素療法や人工呼吸療法を行っているものは重度障害者日常生活用具給付事業や日常生活用具給付事業によって購入費の補助を利用できることがある。したがってこの記述は正しい。
5=×
水平仰臥位では栄養剤の逆流や誤嚥の危険性があるため、上半身を30°以上起こした状態で注入を行う。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題33

次の記述について、より適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 ジェネリック医薬品は、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない。

2 医療保険における訪問診療は、医師が計画的な医学管理の下に定期的に訪問して診療を行うことである。

3 中心静脈栄養法を行っている者は、入浴はできない。

4 呼吸の苦しさを訴えた場合は、速やかに症状を緩和するため、医師の指示に関わらず酸素流量を増やす。

5 膀胱留置カテーテルを使用し、尿漏れがある場合は、カテーテルの閉塞を疑う。

◆ポイント◆

在宅医療や薬剤に関する質問である。介護支援専門員には医療的な相談も多いため、基本的知識はしっかり押さえておく必要がある。関係するものについてまとめた。
・中心静脈栄養法:消化器系に問題がある人や全身状態が悪化し経口摂取が出来ない人に対して行われ、高カロリー輸液療法とも呼ばれる。太い血管(上大静脈や下大静脈)を使うため、確実に栄養分を投与できる半面、感染症を引き起こしやすい。
・ジェネリック医薬品:後発医薬品とも呼ばれ、厚生労働省が普及を進めている。先発医薬品の特許権の期間満了後、成分などを同様にしてつくられた医薬品で、開発費用を抑えられることから安価で医療費削減につながる。
・医薬品副作用被害救済制度:適正な医薬品の使用でも、副作用による健康被害を受けた人に対して医療費等の給付を行う制度。また、予防接種の副作用による健康被害については、予防接種健康被害救済制度が該当する。

◆答えの解説◆

1=×
ジェネリック医薬品も医薬品副作用被害救済制度の対象となる。したがってこの記述は正しくない。
2=○
医療保険において、医師が患者の居宅を訪問して診察を行うものは、医師が計画的に訪問する訪問診療と、患者や介護者の希望で緊急的に行う往診に分けられる。したがってこの記述は正しい。
3=×
中心静脈栄養法を行っているものであっても、ドレッシング材で保護するなどの配慮があれば、入浴が可能である。したがってこの記述は正しくない。
4=×
酸素流量は医師の指示なしに勝手に変更してはならない。医師の指示を超えて酸素流量を上げることは、意識障害を引き起こす危険性がある。したがってこの記述は正しくない。
5=○
排尿障害がある人が膀胱留置カテーテルを使用する際、尿漏れがみられる場合はカテーテルが閉塞している可能性がある。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題34

感染症について、より適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 感染症罹患者に対する特別な対応を、標準予防策(スタンダード・プリコ―ション)と呼ぶ。

2 介護施設で集団感染を起こしやすい感染症には、C型肝炎や麻しんがある。

3 ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると、胃潰瘍は治りにくかったり再発したりする。

4 ノルウェー疥癬は、感染力が非常に強いので、一定期間の個室での管理が必要である。

5 ウイルス感染により引き起こされる肝がんは、終末期であっても介護保険の特定疾病には該当しない。

◆ポイント◆

高齢者は免疫力が低下しやすいことから、感染症を生じやすい。介護施設での集団感染など、感染症対策について理解しておく必要がある。主な感染症については、以下にまとめた。
・ノルウェー疥癬:通常の疥癬より、ヒゼンダニの数が多く、感染力が強い。集団感染につながる。
・麻しん:原因は麻しんウイルス。感染経路は、空気感染・飛沫感染・接触感染。幼児期の予防接種により発症が減少した。
・ヘリコバクター・ピロリ菌:胃の中に生息する菌である。感染経路については、はっきりとしたことは分かっていないが、口からの感染が多いといわれている。

◆答えの解説◆

1=×
厚生労働省が発表したマニュアルでは、「病院の患者だけを対象としたものではなく、感染予防一般に適用すべき方策」がスタンダード・プリコーションであり、感染症罹患者に限らない。したがってこの記述は正しくない。
2=×
麻しんは小児や若年者が主な罹患者であり、C型肝炎は血液により感染する。よってどちらも介護施設で集団感染を起こしやすい感染症ではない。介護施設で集団感染を起こしやすい感染症としては、インフルエンザやノロウイルス感染症、疥癬、結核などが挙げられる。したがってこの記述は正しくない。
3=○
胃潰瘍や胃がんを引き起こす要因の一つとして、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染がある。したがってこの記述は正しい。
4=○
感染力の非常に強いノルウェー疥癬は、介護施設では集団発生しやすいため、一定期間の個室管理が必要。したがってこの記述は正しい。
5=×
介護保険の特定疾病に末期がんがあり、発症する部位や原因は問われない。たとえ終末期であっても対象となる。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題35

次の記述について正しいものはどれか。
3つ選べ。

1 急変時に予想される事態への対応、緊急受診先等をあらかじめ主治医や家族と共有しておくことが望ましい。

2 血圧低下による重要臓器の末梢循環が著しく障害された状態をショックという。

3 高齢者の場合、急変時に見られる痛みや呼吸困難などの訴えがないことも多い。

4 嘔吐した場合には、仰臥位にして口腔内に吐物が残っていないかを確認する。

5 高齢者は、感染症に罹患すれば、必ず発熱する。

◆ポイント◆

この問題は、高齢者の急変時の対応について問われている。急変時の症状等についてまとめた。
・意識障害:「ジャパン・コーマ・スケール(3-3-9度方式)」を用い、軽度から重度までの意識レベルを把握する。
・呼吸困難:高齢者では呼吸器や循環器などの疾患、誤嚥による窒息など、呼吸困難を生じる。高齢者の場合、息苦しさを自覚しなかったり、症状を訴えにくい場合があるため注意が必要である。場合によっては、気道確保や人工呼吸などの対応が求められる。
・喀血:気道(気管支や肺など)で出血し、咳とともに血液が吐き出されたり、痰に血液が混ざること。出血が多い場合は気道が閉塞する危険性があるため体位に注意する。
・吐血:口より血を吐く事で消化管の出血でみられる。上部消化管(食道や胃、十二指腸など)の病変で多い。
・下血:上部・下部消化管で出血が起こり、肛門から出血する。タール(黒色便)の場合は、上部消化管出血で、鮮血の場合は大腸での出血や痔でみられる。

◆答えの解説◆

1=○
疾病を抱える高齢者の場合、予測される急変の症状・対応方法・緊急時の連絡先などを、主治医や家族と情報を共有しておくことが重要である。したがってこの記述は正しい。
2=○
何らかの原因で急速に血圧が低下・循環不全、細胞の代謝障害や臓器障害が起こり、生命の危機に至る状態を、ショックという。したがってこの記述は正しい。
3=○
高齢者の場合、典型的な症状が出現するとは限らず、また痛みや呼吸困難を自覚しない場合もある。そのような場合でも重篤な状態となっていることがあるため、十分な観察が必要である。したがってこの記述は正しい。
4=×
嘔吐した場合、嘔吐物が気道に入り呼吸困難につながる危険性があるため、側臥位にして対処する必要がある。したがってこの記述は正しくない。
5=×
高齢者の場合、体温調節機能がうまく機能しないことや症状が非定型的であるため、必ずしも感染症罹患時に発熱するとは限らない。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題36

次の記述について正しいものはどれか。
3つ選べ。

1 入浴の際に、皮膚の発赤や新しいアザを見つけても、褥瘡のできる部位でなければ、そのままにしてもかまわない。

2 膀胱留置カテーテルの使用時は、畜尿バッグを膀胱と同じ高さに固定する。

3 適切な住宅改修や移動補助具の導入は、介護負担の軽減につながる。

4 摂食・嚥下障害による誤嚥は、嚥下前、嚥下中、嚥下後のいずれの時でも生じることがある。

5 睡眠障害は、痛みやかゆみ、咳、呼吸困難、頻尿などが原因となることがある。

◆ポイント◆

入浴や食事等の日常生活の介護における注意点についてまとめた。
・入浴:バイタルチェック、皮膚の状態、褥瘡やあざなどがないか、動作時の変化の有無のチェック など
・食事:摂食・嚥下の一連の動作、アレルギー症状の有無、残存機能のチェック など
・睡眠:睡眠障害の原因
①身体的要因:身体に生じる不快感や苦痛症状により眠れない。
②心理的要因:ストレスや緊張、イライラ、心配事などで眠れない。
③物理的要因:音や光、温度、生活環境の変化などにより眠れない。
④薬理学的要因:薬の副作用により眠れない。
⑤疾病などによる要因:うつ病や不安障害により眠れない。

◆答えの解説◆

1=×
不自然な発赤やアザは褥瘡以外の原因で発生した可能性もあるため、医療職等に報告をし、速やかに対応する。したがってこの記述は正しくない。
2=×
畜尿バッグは、尿の逆流を防ぐため膀胱より低い位置に固定する必要がある。したがってこの記述は正しくない。
3=○
住宅改修や移動補助具の導入により、利用者本人が自立した生活を送れるとともに、介護者の負担軽減を図ることができる。したがってこの記述は正しい。
4=○
嚥下動作のどの場面においても、誤嚥を起こす可能性がある。したがってこの記述は正しい。
5=○
痛みやかゆみ、咳、ストレス、薬の副作用などが原因で睡眠障害を引き起こす。主な睡眠障害に、なかなか寝付けない「入眠困難」、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、通常より2時間以上早く目覚めその後寝付けない「早朝覚醒」がある。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題37

薬剤について、より適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 肝機能が低下している場合は、薬剤の代謝速度が速くなる。

2 口腔内で溶けるOD(Oral Disintegrant)錠は、口腔粘膜からそのまま吸収される薬剤である。

3 薬剤は、主に便として排泄される。

4 麻薬は、口渇の原因となり得る薬剤である。

5 上半身を起こし、多めの水で薬を服用することが、食道潰瘍の予防につながる。

◆ポイント◆

この問題は、薬剤の代謝や効用、副作用などについて問われている。よく服用される薬剤のうち、内用剤については以下の通り。
・粉薬:顆粒剤と散剤、ドライシロップ(水に溶かす)がある。
・錠剤:フィルムコーティング錠(成分を固めた薬)と、糖衣錠(苦みなどが糖分で包み込まれた薬)がある。また、水なしで服用できる口腔内崩壊剤(OD錠)や、胃で溶けず腸で溶ける腸溶錠、薬効が徐々に現れる徐放剤、などがある。
・カプセル剤:カプセルが苦みやにおいを感じにくくする。硬カプセル剤と軟カプセル剤がある。
・シロップ剤:飲みやすくするため液剤に砂糖や甘味料を加えている。
・液剤:薬を水で溶かしてつくった液体の薬。

◆答えの解説◆

1=×
肝臓は「胆汁の生成・分泌」「代謝」「解毒作用」の機能を持つが、薬剤に関わらず機能低下した場合の代謝のスピードは低下する。したがってこの記述は正しくない。
2=×
唾液など少量の水分でもすぐに溶けるOD錠は、水なしで内服が可能。しかし、口腔粘膜からは吸収されず消化管で吸収されるため、溶けたものを飲み込む必要がある。舌下錠やバッカル錠などが口腔粘膜からそのまま吸収される。したがってこの記述は正しくない。
3=×
一部の薬剤は便から排泄されるが、薬剤は主に腎臓から尿として排泄される。したがってこの記述は正しくない。
4=○
その通りである。麻薬以外にも、抗うつ剤や解熱鎮痛薬、抗高血圧薬なども同様の副作用がある。したがってこの記述は正しい。
5=○
食道潰瘍の予防のひとつとして、食道内に薬剤が停滞しないように上半身を起こした姿勢で、薬を多めの水で服用することが望ましい。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題38

訪問看護について適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 ターミナルケア加算は、死亡日にターミナルケアを実施した場合に加算できる。

2 介護保険の要介護者であっても医療保険の訪問看護の対象となるのは、厚生労働大臣が定める疾病、急性憎悪時及び精神障害である。

3 主治医から交付される訪問看護指示書の有効期間は、3ヶ月以内である。

4 緊急時訪問看護加算では、利用者・家族は、24時間連絡を取ることができる。

5 訪問看護師でも、薬剤管理を行うことが出来る。

◆ポイント◆

訪問看護サービスの学習におけるポイントをまとめた。
・訪問看護指示書:訪問看護を利用する際に主治医の指示が記載された書面。医療保険の訪問看護が提供される場合は特別訪問看護指示書が交付される(交付日から14日間は、介護保険による訪問看護は提供されない)
・ターミナルケア加算:死亡日及び死亡日前14日以内に2日(死亡日及び死亡日前14日以内に医療保険の訪問看護を受けている場合は1日)以上ターミナルケアを行った場合に、当該利用者の死亡月に算定される。
・緊急時訪問看護加算:利用者や家族の希望で、24時間いつでも連絡することができ、必要に応じて緊急時訪問を受けられる。その場合は、あらかじめ利用者・家族の同意を得て居宅サービス計画に位置づけておく。

◆答えの解説◆

1=×
介護保険の訪問看護におけるターミナルケア加算は、死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に算定されるものであり、死亡日のみの訪問だけでは算定できない。したがってこの記述は正しくない。
2=○
医療保険の訪問看護の対象となるのは、要介護者が厚生労働大臣の定める疾病、急性憎悪時及び精神障害である場合や終末期、退院直後に限られる。したがってこの記述は正しい。
3=×
訪問看護指示書の有効期間は、最長6か月となっている。したがってこの記述は正しくない。
4=○
利用者・家族からの電話などで看護に関する意見を求められた場合に、24時間連絡できる体制であり、計画にない緊急時に訪問を行うことができる。したがってこの記述は正しい。
5=○
薬剤の投与・管理・調整は、訪問看護師の業務のひとつである。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題39

短期入所療養介護について正しいものはどれか。
3つ選べ。

1 喀痰吸引を必要とする要介護高齢者は、介護老人保健施設での短期入所療養介護を利用できない。

2 短期入所療養介護には、ターミナルケアも含まれる。

3 緊急短期入所受入加算は、居宅サービス計画にない短期入所療養介護を緊急に行った場合、7日を限度として算定できる。

4 投薬以外の診療を行ってはならない。

5 介護老人保健施設において多職種で共同して個別リハビリテーション計画を作成し、実施した場合には、個別リハビリテーション実施加算を算定できる。

◆ポイント◆

この問題では、介護老人保健施設や介護療養型医療施設、療養病床を有する病院や診療所などで提供される、短期入所療養介護について問われている。短期入所療養介護の特徴について、まとめた。
・医学的管理及び人員配置:医師が配置され、看護職員の配置が多いため、医療的な対応を必要とする要介護者が利用できる。
・認知症行動・心理症状緊急対応加算:認知症患者の受け入れも可能。BPSDなどの症状が認められるため、在宅での生活が困難であり、緊急に短期入所療養介護を利用することが適当であると、医師が判断した利用者に対し、短期入所療養介護を行った場合に算定が可能。利用を開始した日から起算して7日を限度とする。
・特定短期入療養介護:短期入所療養介護を提供する事業所での日帰りのサービス。対象者はガン末期等の要介護者で、医療的ケアが必要とされる中重度者である。

◆答えの解説◆

1=×
喀痰吸引などの医療的ケアが必要な者も、医師や看護職員の常在により受け入れが可能。したがってこの記述は正しくない。
2=○
短期入所療養介護で提供されるサービスに、ターミナルケアが含まれている。したがってこの記述は正しい。
3=○
居宅サービス計画に位置づけられていない指定短期入所療養介護を緊急に行ったときに「緊急短期入所受入加算」を算定できる。したがってこの記述は正しい。ただし、認知症・心理症状緊急対応加算と同時に算定は出来ない。
4=×
運営基準では、投薬のほか、注射や検査、処置などを利用者の状況に合わせ適切に行うことが求められている。したがってこの記述は正しくない。
5=○
個別リハビリテーション実施加算とは、医師や看護職員、理学療法士等が共同して利用者ごとの個別リハビリテーション計画を作成し、実施した場合に算定できる加算。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(基礎):28年度-問題40

介護老人保健施設について適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 若年性認知症の入所者を受け入れた場合には、介護報酬の加算を算定できる。

2 既存の介護療養型医療施設は、介護療養型老人保健施設に転換することが出来る。

3 施設長は、医師でなければならない。

4 退所時等指導加算は、退所後に自宅を訪問して生活指導を行っても算定できない。

5 口腔衛生管理体制加算は、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が1か月に4回以上口腔ケアを行った場合に限り算定できる。

◆ポイント◆

介護老人保健施設は、在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設である。介護老人保健施設の内容や特徴を理解しておく必要がある。
・退所時等指導加算:入所期間が1カ月を超える入所者の退所前に自宅へ訪問して退所後の生活の指導を行った場合や、退所後に訪問して指導を行った場合などに算定可能な加算。
・若年性認知症利用者受入加算:若年性認知症(64歳以下の人が発症)の入所者を受け入れてケアを行った場合に算定が可能な加算。
・口腔衛生管理体制加算:歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対し口腔ケアの技術的指導を1ヶ月に1回以上行っている場合に算定可能な加算。

◆答えの解説◆

1=○
介護老人保健施設では、若年性認知症の入所者を受け入れた場合に若年性認知症利用者受入加算の算定が可能。したがってこの記述は正しい。
2=○
廃止が平成30年までに延長された介護療養型医療施設は、介護療養型老人保健施設へ転換される方針である。したがってこの記述は正しい。
3=×
管理者は原則として医師でなければならないが、施設長の要件については特に決められてはいない。したがってこの記述は正しくない。
4=×
退所時等指導加算は、退所前のみではなく、退所後に自宅を訪問して指導した場合にも算定ができる。したがってこの記述は正しくない。
5=×
設問にある加算は「口腔衛生管理加算」の内容である。口腔衛生管理体制加算の場合は、歯科衛生士が介護職員に対して技術的指導を行うことである。したがって、この記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(総合):28年度-問題41

高齢者の特性について、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 老年性症候群に対しては、できる限り安静や臥床が必要である。

2 せん妄は、原因や誘因を取り除いても消失しない。

3 体重減少、疲れやすい、身体活動レベルの低下、握力低下、歩行速度低下の5つの要素のうち、3つ以上あればフレイル(虚弱)と定義される。

4 サルコペニア(加齢性筋肉減少症)は、運動器全体の機能低下をきたすことがある。

5 加齢により、最近の出来事に対する記憶が低下していくことが多い。

◆ポイント◆

加齢に伴う身体機能の低下、精神機能の低下など、高齢者の主な特性について理解しておく。
・老年症候群:加齢に伴う心身の機能の衰えによって現れる身体的・精神的諸症状が高齢期の生活機能を低下させ、生活の質の低下を招く。具体的には、意識障害やせん妄、抑うつや認知機能障害、さらには低栄養や脱水なども該当する。
・せん妄:意識障害の1つで夜間に多く起こる「夜間せん妄」などがあり、しばしば認知症と間違えられる。一過性の認知機能低下、見当識障害、不眠、興奮、錯乱、幻覚や幻聴など様々な精神症状を呈する。意識が回復すると、認知機能は正常に戻る。

◆答えの解説◆

1=×
過度な安静や臥床を続けることは生活不活発病(廃用症候群)になる恐れがある。そのため、なるべく離床し体を動かす必要がある。したがってこの記述は正しくない。
2=×
せん妄は、環境の変化・疾病や睡眠障害などが原因となるが一過性のものである。その原因を取り除くことで症状が回復する。したがってこの記述は正しくない。
3=○
フレイルとは、高齢者の筋力・活動が低下している状態(虚弱)を指す。体重減少・疲れやすい・身体活動レベルの低下・握力低下・歩行速度低下の5つの要素があり、3つ以上当てはまるとフレイルとみなされる。したがってこの記述は正しい。
4=○
サルペコニア(加齢性筋肉減少症)とは、フレイルの原因のひとつで、加齢に伴う骨格筋量の低下や、筋力や身体機能の低下のこと。したがってこの記述は正しい。
5=○
高齢者では、加齢に伴う認知機能の低下により、最近の出来事に対する記憶は低下することが多い。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(総合):28年度-問題42

終末期のケアについて、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 体位変換の頻度の減少や栄養状態の悪化により、褥瘡ができやすくなる。

2 本人の意思を確認出来ない状況下では、家族の意見が分かれることがあるため、医療・介護専門職が方針を話し合い、その結果に基づき家族を説得する。

3 終末期には、息苦しさが楽になるよう、ベッドの角度調整など姿勢の工夫をする。

4 終末期には、身体への負担が大きいため、本人が望んでも入浴は避けなければならない。

5 家族の予期悲嘆を表現できるよう支援することは、家族に対して看取りへの心の準備を促すことにつながる。

◆ポイント◆

終末期の支援について問われている。ターミナル期の看取りまでの状態変化についてまとめた。
・亡くなる数週間前~1週間前:飲食がかなり減少、うとうとと傾眠状態が多くなる。呼吸は息切れや息苦しさがあり、徐々に血圧は低下、脈は速くなる。
・亡くなる数日前:ごく少量の飲食のみになり、意識はもうろうとし分からないことを言ったりする。喉がゴロゴロし呼吸のリズムが変化、循環においては尿量が減り濃くなる。
・死亡48時間前~直前:飲食は口をぬらす程度で、反応はほぼなくなる。肩や顎を動かす呼吸に変わり、手足が紫色に変化し冷たくなる。

◆答えの解説◆

1=○
自分で体を動かすことが困難になり、栄養状態も悪くなることから褥瘡ができやすい。したがってこの記述は正しい。
2=×
本人の意思を確認出来ず家族の意見が分かれるときは、専門職の意見で家族を説得するのは適切ではなく、家族・医療・介護専門職が話し合うことが大切である。したがってこの記述は正しくない。
3=○
終末期は徐々に呼吸状態が変化し息苦しさが増してくるため、ベッドの角度などを調整することで安楽な姿勢につながる。したがってこの記述は正しい。
4=×
終末期であっても、入浴したいという本人の希望を最大限に聴きいれることが必要である。したがってこの記述は正しくない。
5=○
予期悲嘆とは、その先に訪れると思われる喪失を想定して、事前に嘆き悲しむことである。この事によって、看取りに対する心の準備を行うことが出来るため、家族に対しては話を傾聴することや感情を表出してもらえるよう支援する。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(総合):28年度-問題43

認知症について、より適切なものはどれか。
3つ選べ。

1 レビー小体型認知症では、起立性低血圧や失神による転倒、便秘などの症状はまれである。

2 認知症ケアパスとは、医療機関の連携を示すもので、介護体制は含まない。

3 若年性認知症者は、自立支援医療の対象となる。

4 認知症のSOSネットワークは、警察だけでなく、介護事業者や地域の生活関連団体等が捜索に協力して、行方不明者を発見する仕組みである。

5 正常圧水頭症に見られる認知機能障害は、脳の周囲や脳室内に脳脊髄液が貯留するために生じる。

◆ポイント◆

認知症について幅広い知識が問われている。認知症の種類や症状を呈する疾患、関連する制度については、今後も出題の可能性が高いため、しっかりと理解しておく。
以下に主な制度をまとめた。
・新オレンジプラン:2015(平成27)年1月に厚生労働省が発表した認知症施策推進総合戦略。「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることが出来る社会の実現を目指すもの」を目指している。7つの柱から構成される。
・認知症初期集中支援チーム:複数の専門職が、家族の訴えなどにより、認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、アセスメント、家族支援などの初期の支援を包括的・集中的に行い、チームで自立生活のサポートを行う。平成30年度からすべての市町村で実施される。

◆答えの解説◆

1=×
起立性低血圧や失神、血圧の変動や便秘などの自律神経症状は、レビー小体型認知症では多く見られる。したがってこの記述は正しくない。
2=×
認知症ケアパスとは、認知症の状態に応じた適切なサービスが、住み慣れた地域において提供する流れをいい、介護体制も含まれる。したがってこの記述は正しくない。なお、認知症ケアパスは新オレンジプランにおいて、市町村に作成・普及が求められている。
3=○
障害者総合支援法の自立支援医療では、若年性認知症の者も対象となる。したがってこの記述は正しい。
4=○
設問の記述通りであり、地域全体が協力して行方不明になった高齢者を見つけ出す仕組みである。したがってこの記述は正しい。
5=○
正常圧水頭症は、脳の周囲や脳室内に脳脊髄液が過剰にたまり、脳が圧迫されてさまざまな症状を呈する。認知機能障害や歩行障害、尿失禁などがみられ、認知症の5%程度を占めるとされる。したがってこの記述は正しい。

保健医療サービスの知識等(総合):28年度-問題44

居宅サービス事業者について、より適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 連携型定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は、定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービスを提供する。

2 指定訪問リハビリテーションの提供は、研修を受けた看護師が行うことが出来る。

3 介護予防訪問看護の対象者には、末期の悪性腫瘍の患者も含まれる。

4 短期入所療養介護の入所が4日以上になる場合は、医師の診療方針に基づき、居宅サービス計画に沿った短期入所療養介護計画を事業所の管理者が作成する。

5 通所リハビリテーション計画は、かかりつけ医の指示により作成しなければならない。

(注1)選択肢1は「指定地域密着型サービス事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第34号)の定める内容による。
(注2)選択肢2,4及び5は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)の定める内容による。

◆ポイント◆

居宅サービスにおける医療系サービスについて問われている。各サービスについてまとめた。
・訪問リハビリテーション:リハビリテーションの専門職が居宅へ訪問しリハビリテーションなどを行う。提供できる事業所は病院・診療所・介護老人保健施設。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護:地域密着型サービスの1つで、一体型と連携型がある。24時間を通じて、定期巡回サービス、随時対応サービス、随時訪問サービス、訪問看護サービスの4つを提供する。

◆答えの解説◆

1=○
連携型は訪問介護事業所が訪問看護事業所と連携してサービスを提供し、看護にあたる「訪問看護サービス」以外のサービスを提供する。したがってこの記述は正しい。
2=×
看護師が行うことはできない。指定訪問リハビリテーションの提供は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のみである。したがってこの記述は正しくない。
3=×
医療保険の訪問看護の対象に、末期の悪性腫瘍の患者が含まれる。したがって、介護保険の介護予防訪問看護を利用することができない。
4=○
記述の通りである。短期入所療養介護・短期入所生活介護の場合、おおむね4日以上利用する場合に計画を作成する必要があり、計画作成者はともに管理者とされている。したがってこの記述は正しい。
5=×
通所リハビリテーション計画は、施設に常勤する医師や理学療法士などが共同で作成しなければならない。したがってこの記述は正しくない。

保健医療サービスの知識等(総合):28年度-問題45

災害対応について適切なものはどれか。
2つ選べ。

1 深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)は、長時間同じ姿勢でいることから生じやすいので、こまめに足を動かすことなどで予防する。

2 災害時においても、個人情報保護の観点から、要援護者の個人情報の提供および共有は、行うことができない。

3 災害時の新たな課題である生活不活発病は、活動低下により身体機能が低下した状態をいい、要介護者のみに生じる。

4 人工呼吸器等電源を必要とする医療機器使用者の停電時の対応については、平時より、主治医等と話し合い、対応を決めておく。

5 福祉避難所の対象者は、高齢者や障害者など避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とするものとし、その家族は含まない。

◆ポイント◆

災害時や避難所での高齢者の支援、関係する疾患等について問われている。避難生活で問題となり得る疾病についてまとめた。
・深部静脈血栓症/肺塞栓症:いわゆるエコノミークラス症候群のこと。長時間同じ姿勢でいることにより、主に足でできた深部静脈血栓が血流により肺静脈まで運ばれる状態。血栓が肺に詰まると、息苦しさ、失神やショックを引き起こす。
・生活不活発病(廃用症候群):安静にしすぎることで起こる全身の心身機能低下のこと。予防することが重要で、日頃から適度に体を動かすことを心がける。

◆答えの解説◆

1=○
こまめに足を動かすことなどが、深部静脈血栓症/肺塞栓症の予防につながる。したがってこの記述は正しい。
2=×
個人情報保護法では、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときは、個人情報の提供・共有してもかまわない」と規定され災害時はこのような状況に当てはまる。したがって、この記述は正しくない。
3=×
生活不活発病は、要介護者のみでなく、避難所生活で動きにくい状態にある一般の人々にも起こる可能性がある。したがってこの記述は正しくない。
4=○
人工呼吸器は生命にかかわる重要な医療機器である。停電時の電源確保などその取扱いについては、日頃から主治医や医療職と対応を決めておく必要がある。したがってこの記述は正しい。
5=×
福祉避難所では、なんらかの特別な配慮を必要とする者及びその家族が対象となる。

山口あき子
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